先週金曜、インドネシア政府は石油燃料値上げを正式に発表し、土曜日午前零時をもって実施された。プレミアムガソリンがリッター当たり4500ルピアから6500るぴあへ、軽油が4500ルピアから5500ルピアへの値上げである。
たしかに、石油燃料値上げは他の物価上昇へ影響する。すでに、公共交通機関の料金は全国各地で15%程度上昇した。この土日にジャカルタへ出張してスラバヤへ戻ってきたら、スラバヤの空港タクシーの料金が、これまでの87,000ルピアから10,000ルピアへ一気に上がっていた。窓口に手書きで「新料金」と書かれていた。
断食月を前に、便乗値上げが横行することだろう。しかし、これまで何年も石油燃料値上げがなかったにもかかわらず、物価は常に上がり続けてきた。それがなぜか消費者物価上昇率の公式発表数字に反映されてない印象がある。
おそらく、わりと農業生産が好調だったため、消費者物価を支える食料価格が比較的落ち着いた動きをしているためだろう。しかし、輸入製品のあふれる都市部では、物価上昇が抑えられているという実感を得たことはほとんどない。
最低賃金も大幅に上昇する中で、この数年、インドネシアの人々は豊かさを実感しているはずだが、ずっとインドネシアをみてきた身からすると、物価上昇への不満はずっとあったように思える。でも、石油燃料値上げによってそれが国民的反政府運動へ向かう気配はない。
本来もっと早くすべき政策が先延ばしとなり、ようやく今になって実施した、という感じである。将来が見通せるようになったインドネシアは、駄々っ子のような刹那的な反対デモや暴力に訴えなくなって行くプロセスに入ってきたのだろうか。
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