すでに以前のブログ「インドネシア・中ジャワ州南西部の投資環境(報告)」に掲載したPDFファイルの報告書でも書いたのだが、11月27日、中ジャワ州のバンジャルヌガラ県でウナギ蒲焼を食べてきた。それも、生きたウナギを目の前でさばき、開いて串に刺し、オーブンでじっくり焼いて、濃厚なタレをつけていただく、というなかなか贅沢なひとときだった。
このウナギ、南海岸に面したチラチャップ付近で漁民が獲った稚魚(シラス)をいったん海水の池に集め、そこから淡水の池に移して徐々に淡水に慣らしながら大きくしていく。種類はジャポニカ種ではなくビコール種、日本の蒲焼用のウナギは体長20〜25センチ程度だが、今回いただいたのはそれよりも若干長い30〜40センチのものだった。
この企業は兄弟・親戚の3人で動かしている小さな企業である。以前、日本で開催されたFOODEX
JAPANへ蒲焼を出展したが、「泥臭い」と言われて散々だった。日本滞在中に、彼らは浜松のウナギ養殖業者を訪問し、いろいろ学んだ。「泥臭い」原因
は、海水で大きくしたウナギを使ったからで、地下水などの淡水を使うと臭みが抜けることに気づき、FOODEXの半年後、淡水で育てたウナギの蒲焼で再チャレンジした。評判はよく、日本のウナギ蒲焼と遜色ないと評された。
3人のうちの一人は、スラバヤの料理学校を出た後、ジャカルタのリッツカールトンで修行した男で、彼が浜松で蒲焼の作り方、タレの作り方を学び、短期間でそれを習得した。浜松の巨匠は1分間に40匹のウナギをさばくそうで、技の習得に長い期間が必要とのことだが、この彼は、わずか1年間学んだだけで、1分間で25匹をさばくという。その技も見せてもらった。(このくだりは、この企業の人の話だが、よくよく考えてみれば、非現実的な数字のように思える。1時間当たりの数字なのかもしれない。要するに、このインドネシア人の彼が短時間で技術を身につけたということを強調したい表現と受け取ってもらえれば幸いである)。
このウナギ蒲焼、日本で食べる一般的なものよりも肉厚でふっくらしている。今回は関西風に蒸さずに直接焼いてもらったが、全体に脂っこくなく、適度な脂が乗っている。ビコール種は皮が堅いとよく言われるが、ちょっとカリッとしてはいるものの、食べられないほど堅くない。日本で学んできたタレはそのまま注ぎ足しながら味をキープしてきたもので、浜松の巨匠も太鼓判を押したというのがうなずけるよくできたタレだった。
ウナギ蒲焼を口に運ぶ。ふわっと口の中に広がるウナギの柔らかな肉と脂の絶妙なハーモニー。こんなおいしいウナギを食べたのは本当に久しぶりだった。
しかも、私のためにわざわざ作ってくれた蒲焼。山椒がなかったのが本当に残念だった。
まだまだ手作りという感じの彼ら。今は月に100キロ程度、 某日本食レストランからの注文を受けて生産し、真空パックにして送っている。将来的には、月に5トン程度の蒲焼をつくりたいという計画を持ち、養殖場と蒲焼工場の敷地として24,000m2の土地を確保したという。彼らと一緒にウナギ養殖と蒲焼工場に興味を持つ投資家はいないだろうか。
このウナギ、一食の価値がある。もし、食べてみたい方がいれば、ご連絡いただきたい。彼らのウナギを食べるツアーなど企画してみたい、などと思う今日この頃である。
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