すでに、2013年2月時点で発表された数字だが、備忘録として、2012年1年間の経済実績の数字を下記に書き留めておく。
<GDP成長率>
2012年は目標の6.5%を下回る6.23%。
<貿易>
2012年通年の輸出は1,900.4億ドル、輸入は1,916.7億ドルで、貿易収支は16.3億ドルの赤字を記録。石油ガスが59.9億ドルの赤字、他方、非石油ガスは39.6億ドルの黒字。
貿易赤字の大きかったのは中国(81億ドル)、タイ(58億ドル)、日本(56.4億ドル)。ASEAN全体との貿易も4億5540万ドルの赤字。
輸出の61.1%は工業製品。
<観光客>
2012年通年の観光客数は前年比5.16%増の804万人。2012年の観光による外貨収入は前年比5.81%増の91億ドルに達した。
2012年通年の航空利用者数は、国内線が前年比5.87%増の5450万人、国際線が同9.54%増の1190万人。
海運では、旅客数は前年比8.68%減の690万人だが、貨物量は同10.61%増の2億950万トン。
鉄道では、旅客数が前年比1.43%増の2億220万人、貨物量は同15.56%増の2360万トン。
<製造業>
2012年の大中工業生産の成長率は4.12%、小・零細工業生産のそれは4.06%。
<消費者物価上昇率>
2012年通年では前年比4.30%増となり、2011年通年の3.79%増よりは若干上昇したが、比較的低い水準を維持。
<直接投資>
外国直接投資(PMA)が前年比26.1%増の245億ドル、国内直接投資(PMDN)が同21.3%増の92.2兆ルピア。
日本からの投資は前年比67%増の25億ドルで、国別ではシンガポール(49億ドル)に次いで第2位。韓国からの投資は19億ドルだが、2012年第4四半期に限ると、韓国が国別で2位。
外国直接投資の17%(43億ドル)は鉱業部門へ。増加率が最も高かったのは化学・薬品の前年比86%増(28億ドル)。
外国直接投資の立地別では、西ジャワが42億ドル、ジャカルタが41億ドル、バンテンが27億ドル、東ジャワが23億ドル、東カリマンタンが20億ドル。ジャワ島に全体の56.1%。
<自動車・二輪車>
2012年のインドネシア国内での自動車販売総数は111万6230台。また、2012年のインドネシアからの自動車輸出はCKDを含めて27万3490台。
2012年のインドネシア国内での二輪車販売台数は706万台(2011年は801万台)。
輸出の減退、輸入の増加による経常収支赤字を、直接投資・証券投資の流入による資本収支黒字で補って、何とか国際収支(総合収支)全体を保っているという状態。この構造は、かつて、石油ガス依存から脱却しようとしていた1980年代〜1990年代前半のインドネシアの国際収支構造に似ている。あのときには、通貨ルピアが過大評価されがちで、一気にルピアを切り下げたことが何度かあった。現在は、そのようなドラスティックな措置をとれる状況にはなく、中銀が懸命に為替介入を試みながら、ルピアの変動をできる限り緩やかに調整しようと試みている。おそらく、対ドルでのルピア下落はある程度避けられないであろう。
また、経済が発展するにつれて、国内産業のエネルギー需要が高まっている。価格高騰かつ環境負荷の大きい石油から天然ガスへの転換がインドネシア国内でも進んでいるが、ガス田開発の遅れと供給体制の不備などで、北スマトラなど一部の地方ではガス供給が逼迫している(昨年問題となった東ジャワのガス供給逼迫は改善の方向にある)。このため、インドネシアにおいても、石油に加えて、中東地域で輸入向け天然ガスの確保などが始まっている。
自動車や二輪車の販売台数が増えれば、ガソリン需要も増える。インドネシアにはガソリン向け石油精製施設の整備が遅れており、輸入に依存している。このため、自動車や二輪車が増えるとガソリン輸入も増え、経常収支を圧迫することになる。加えて、2014年へ向けた政治的理由から、ガソリン向け補助金の削減が難しくなっており、2013年も財政的にも厳しい状況が続く。
経常収支赤字とエネルギー供給。この二つが、インドネシア経済の持続的発展の鍵を握る重要なファクターとなっている。
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