数日前、我が家の近所を歩いていたら、店の看板に赤いバツ・マークが貼られているのに気がついた。店の人が自分で貼ったとは思えない貼り方だった。
よくみると、「税金未納」と書かれている。
「スラバヤ市条例2009年第10号により、スラバヤ市政府の許可無く剥がしてはならない」と書かれている。おそらく、店が閉まって街が寝静まった夜中に、市職員が密かにやって来て、夜が明けるまでに貼り付けていったのであろう。
2009年以降、毎年やっていることなのだろうか。毎年恒例ならば、税金未納側も何らかの対策を打つと思うのだが。もしかしたら、今回初めてなのかもしれない。
それにしても、スラバヤ市のやり方は大胆だ。これが貼られているということは、市民の誰もがその店が税金を払っていないことを否が応でも知ってしまうからである。当然、税金を払わない店の評判に関わる話になる。
しかし、表通りのスンコノ少将通り(Jalan Mayjen Sungkono)に面した店では、赤いバツ・マークの貼られた店は見当たらなかった。さすがに、貼られたらバツが悪いということなのか。それだけでも、納税促進の効果はあるというものだ。今回、赤いバツ・マークを見たのは、スンコノ少将通りから一歩入ったところにある店である。「大通りに面していないから大丈夫だろう」と店側が高をくくったのではないか。
インドネシアはかつて石油大国だった。今から思うと、1980年代前半までは、ブルネイのように、国民に税金を払わせなくてもやっていける国を本気で目指していたように思える。1980年代前半に石油価格が暴落し、それを見越して世銀などの支援で進めた税制改革の結果、付加価値税など税収を増やして石油収入の減少を補う施策を採ってきた。それからもう30年、石油の純輸入国となったインドネシアはOPEC(石油輸出国機構)からも脱退し、税収増なしには財政をまわしていけない普通の国になった。
スラバヤ市も税収増に躍起になっている地方政府の一つであるが、それにしても、こんなふうに、赤いバツ・マークを付ける強引なやり方を見たのは初めてである。これも、新しいインドネシアの一つの表れなのだろうか。
(追記)その後、スラバヤの大きな通りを注意深く観察していると、やはりいくつかの大通りに面している建物にも赤いバツ・マークが付けられていた。たとえば、我が家の近くでは、ガソリンスタンド、ホテルなどに赤いバツ・マークが付いていた。ただし、排ガスなどの影響だろうか、色が若干薄くなっていた。
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